大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

広島地方裁判所 平成元年(わ)1132号 判決

本店の所在地

広島県竹原市竹原町一六一九番地の四八

法人の名称

株式会社岩井仏壇店

代表者の住居

右同

代表者の氏名

岩井良孝

本籍

広島県竹原市竹原町四三三〇番地

住居

同町一六一九番地の四八

会社役員

岩井良孝

昭和二四年四月一四日生

右被告人及び被告人会社に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官吉池浩嗣出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人会社 株式会社岩井仏壇店を罰金一二〇〇万円に、

被告人岩井良孝を懲役一年にそれぞれ処する。

被告人岩井良孝に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社岩井仏壇店は、広島県竹原市竹原町一六一九番地の四八に本店を置き、仏壇、仏具等の販売業を営むもの、被告人岩井良孝は、被告人会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人岩井良孝は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようとして企て、仏壇売上げの一部を除外するとともに期末棚卸商品の一部を除外する等の方法により所得を秘匿した上、

第一  昭和六〇年一〇月一日から同六一年九月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が四〇二一万〇五三九円あつたにもかかわらず、昭和六一年一二月一日、同町北堀一五四八番地の一七所在の竹原税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三八六万四七五三円で、これに対する法人税額が九四万四七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額一六一〇万九七〇〇円と右申告税額との差額一五一六万五〇〇〇円を免れ

第二  昭和六一年一〇月一日から同六二年九月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が八七〇八万四〇八一円あつたにもかかわらず、昭和六二年一一月三〇日、前記竹原税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三三四四万六五六六円で、これに対する法人税額が一二九一万八九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額三五四四万一〇〇〇円と右申告税額との差額二二五二万二一〇〇円を免れ

第三  昭和六二年一〇月一日から同六三年九月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が三〇六一万四四八五円あつたにもかかわらず、昭和六三年一一月三〇日、前記竹原税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二〇三万三一〇八円で、これに対する法人税額が四四万七五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額一一七〇万五九〇〇円と右申告税額との差額一一二五万八四〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書二通

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書一四通

一  岩井ますみ(二通)、塩中昭美、田村英司(五通)、行友美智子(四通)、吉村猛司、上空嗣治(三通)、高瀬祐二、上林正良、山下博信、伊賀幸雄、友松進(二通)及び中本兼三の大蔵事務官に対する質問てん末書

一  大蔵事務官作成の調査書一六通

一  検査事務官作成の捜査報告書

一  登記官作成の登記簿謄本

一  押収してある法人税決議書一綴(平成二年押第二八号の1)

(法令の適用)

罰条 法人税法一五九条一項(さらに、被告人会社につき法人税法一六四条一項)

刑種の選択 被告人につき、懲役刑選択

併合罪の処理 被告人につき、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第二の罪に法定加重)

被告人会社につき、刑法四五条前段、四八条二項

刑の執行猶予 被告人につき、刑法二五条一項

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 青柳勤)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例